2022年11月10日 耐震
関西で安心に暮らすためには「構造計算」は必要?
岡本工務店の岡本耕介です。
皆さんと共に「大阪で注文住宅を建てるために本当に必要な知識」を学んでいくブログを書いています。
今回は『構造計算』について勉強をしました。
地震大国の日本で安全に暮らすには「構造計算」は必ず行わなければなりません。
今回は何が正しい「構造計算」なのか、岡本工務店はどこまでの耐震性を提供しているのかをお伝えしていきます。
まとめ
・日本の約80%の住宅は構造計算されていない。
・法律では全ての住宅で構造計算必須となっていない。
・同じ「耐震等級3」でも計算方法で強度変わる。
「構造計算」は必要?
地震大国である日本の住宅の耐震性能は最先端と考えている方は多いと思います。
ですが、日本で建っている木造の平屋、及び2階建ての住宅のおよそ80%が構造計算されていません。
→引用元:https://www.archimoda.jp/blog/2150
2016年に発生した熊本地震では震度7の大きな揺れが2回も発生しました。
その当時安全だとされていた2000年以降の「新耐震基準」の建物が倒壊して、「長期優良住宅」に認定された建物も倒壊し、住宅業界にも衝撃が走りました。
それらの悲劇は「構造計算」をしていれば防げたかもしれません。
現在の日本の法律ではきちんとした構造計算をしなくても最高等級の耐震等級3が取得できてしまうよくわからない状況です。
ですので、しっかりとした構造計算を行いちゃんとした耐震等級3を取得する必要があります。
法律では決まっていない?
現在日本の法律で構造計算が義務化されているのは鉄骨造やコンクリート造の大型の建物のみです。
木造住宅は、建築基準法の4号の特例に該当する建築物は簡易な壁量計算などのみで建築できます。
その為、それを理由に「構造計算をしなくてもウチの建物は壁が多いので大丈夫」「制震ダンパーを採用しているから大丈夫」などと平気で言う営業マンもいます。
壁が多くても何も変わらないし制震ダンパーで家の全てを支えられるわけがありません。
ただ構造計算には費用のかかる建設会社がほとんどです。ですが費用を支払ってでもきちんと構造計算をして安心して暮らすことが出来るおうちを建てることをおススメします。
耐震性能の計算方法は?
計算手段は3つの方法があります。
1.壁量計算
壁の量だけで、地震や台風などの横の力が加わった時に倒れるかどうかを検討するだけのとても簡易的な計算方法です。
結果の資料はA3用紙1枚程度の物で営業マンによってはそれを出して構造計算していると言う人もおられます。
※法律では木造2階以下、500㎡以下はこの計算だけで問題なし。
2.性能評価(品格法)による壁量計算
壁量計算に加えて、「床・屋根倍率」「床倍率に応じた横架材接合部の倍率」を検証した計算方法です。
※ハウスメーカーがよく採用している計算方法
3.構造計算(許容応力度計算)
地震や台風時にかかる水平力の検証に加えて、建物の自重や荷重の鉛直力に対してすべての柱や梁の検証を行い、建物の安全性を確かめる計算方法です。
結果の資料はA4の用紙数百枚で費用も約20万円掛かります。
※許容応力度計算の耐震等級2が「2.性能評価による壁量計算」の耐震等級3と同等といわれるぐらい信頼性の高い計算結果です。
これらの計算方法から出された結果により3段階の等級で表されます。
耐震等級1(建築基準法=最低限の基準)
耐震等級2(耐震等級1の1.25倍の強度)
耐震等級3(耐震等級1の1.50倍の強度)
当然「耐震等級3」がベストですが、それより重要なのはどの計算方法で出した耐震等級3なのかということです。
等級だけを聞かず、どの計算方法を採用しているかを聞くのもとても大事なことです。
最後に
今回は安心・安全に暮らすために必要な「構造計算」を紹介しましたが、「構造計算」にも複数種類があるのでしっかりと理解していないと本当の耐震性能を見抜けない可能性があります。
前回の「断熱材」とは違いどれを使っても問題ないという物ではありません。
何度もお伝えしているように費用を払ってでも「許容応力度計算」をしなければいけません。
もし大きな地震が来たとして、全壊なら保険は適応されますが半壊では適応されません。
ではそこから修復する費用は誰が支払うのか?もちろんお客様です。
施工会社も天災では修復工事はしても倒壊・損傷の責任までは負いません。
よっぽどの大きな地震で建物が損壊しないようにしっかりと構造計算を行い安心して暮らせるように計画段階からしておきましょう。
岡本工務店では「全棟許容応力度計算」を行っています。
弊社のモデルルームに構造計算書のサンプルも準備していますので、いらっしゃった際にどのような物か一度見ていただいて他の建築会社で見せてもらったものと見比べ、そこも一つの基準として見ていただけたらと思います。
ぜひお気軽に事務所へお立ち寄りください。
私たち岡本工務店では、創業115年来建築を通して笑顔をつくってきました。
その思いを胸にこれからも皆さんが家作りする上で重要な知識を中立的に情報提供していくことをお約束します。