2023年08月30日 性能 耐震
制震ダンパーについて
岡本工務店の岡本耕介です。
地震大国である日本で暮らす以上、いつ来るか分からない南海トラフ地震や首都直下型地震などの巨大地震への対策は欠かすことは出来ません。
今回はそんな地震への対策の中から近年採用されるお客様が増えている「制震ダンパー」について考えていきたいと思います。
目次
まとめ
・「制震」とはダンパーなどの装置を使用して地震のエネルギーを吸収し、揺れを小さくすること
・「制震ダンパー」は繰り返しの小さな地震にも対応できるものがおすすめ
・「制震」と「耐震」両方の対策が大切
制震ダンパーとは
「制震ダンパー」とは建物の地震被害を抑えるために設置する装置です。
制震ダンパーにはいくつか種類があり「鋼材」や「粘弾性のゴム」、「オイル」などによって地震の揺れを吸収し熱エネルギーへと変換することで地震の被害を抑えます。
それでは各制震ダンパーの特徴について説明していきます。
鋼材ダンパー
鋼材ダンパーは金属が曲がる時に発生する力を熱エネルギーに変換して地震の揺れを吸収します。
メリット
金属を組み合わせたシンプルな作りなのでゴムや鋼材のダンパーに比べると設置するコストが比較的安価。
デメリット
繰り返しの地震に弱く、耐久性も低い。限界を超えてしまうと、制震ダンパーとして機能しなくなる可能性がある。
小さな地震では金属の折曲がりが始まらないため効果が薄い。
ゴムダンパー
ゴムダンパーは粘弾性のゴムを主な材料としたダンパーのことです。地震の揺れに対してゴムを伸び縮みさせることで地震の揺れを吸収します。
メリット
比較的コストは安く、小さな揺れから大きな揺れまで幅広く対応が可能。
デメリット
使用するにつれて粘弾性が低くなったり、夏場など高温となった場合に粘弾性が損なわれる可能性がある。
鋼材ダンパーやオイルダンパーに比べると大地震に対しての効果が低いため、他のダンパーと併用されることが多い。
オイルダンパー
オイルダンパーは自動車のショックアブソーバーにも使われていてダンパー内に充填されているオイルの油圧を利用して地震の揺れを吸収します。
メリット
小さな揺れから大きな揺れまでしっかり性能を発揮。
繰り返しの地震にも性能が低下せず何度でも振動エネルギーを吸収。
コンパクトなのでゴム・鋼材ダンパーより扱いやすく間取りや設計への影響が少ない。
デメリット
商品によっては定期的に点検をしてオイル漏れがないか確認する必要がある。
構造が複雑なため価格が高いものも多い。
↓オイルダンパーを実際に使用した施工事例はこちら↓
「制震」は「耐震」と組み合わせる
地震に強い住宅をつくる上で一番大切なのものは「耐震性能」です。
具体的に言うと今後は耐震等級3が必須といっても良いぐらいです。
しかし「耐震性能」を高めただけでは安心安全が長く続く住宅とは言えません。
「耐震性能」とは揺れに耐える力であって、建物にかかる揺れを軽減する働きはないからです。
平成28年におこった熊本地震のように繰り返し地震が起こると、「耐震等級3」の住宅でも少しずつダメージが蓄積します。
1度の地震では被害がなくても、何度も何度も揺れているうちに材料をとめている釘などが少しづつ緩んできたり、釘頭が折れてしまう可能性もあります。
「耐震等級3」の住宅でもそうなってしまっては新築当時の耐震性能を維持することは出来ません。
そうならない為には揺れを軽減する働きを持つ「制振ダンパー」を組み合わせることがおすすめです。
過去20年間で起きた地震のうち震度1~5が90%以上を占めいるので「制震ダンパー」を設置し1度の地震から受けるダメージを少なくすることは、新築当時の「耐震性能」を維持するのにとても有効な手段と言えます。
最後に
今回は制震ダンパーについて書きましたが制震ダンパーはあくまでも耐震性能のサポートするものです。
もしもの時に、そこに住む人の命を守るためにまず重要となるのは耐震性能です。
家づくりをする際はしっかりと構造計算を行い、耐震等級3を取得できる住宅会社を選ぶことが大切になってきます。
そのうえで制震ダンパーを組み合わることで長きにわたり安心安全が続く地震に強い住宅にすることが出来ます。
岡本工務店では構造計算・耐震等級3を必須としており、お客様のご希望ご予算に合わせて制震ダンパーのご提案もしております。
私たち岡本工務店では、明治40年より建築を通して笑顔をつくってきました。
その思いを胸にこれからも皆さんが家づくりをする上で重要な知識を中立的に情報提供していくことをお約束します。