2023年01月11日 性能
健康に過ごす為には「結露計算」が必要!?
岡本工務店の岡本耕介です。
皆さんと共に「大阪で注文住宅を建てるために本当に必要な知識」を学んでいくブログを書いています。
今回は『結露計算」について勉強をしました。
冬の寒い時期に窓を見ると水滴が・・・
なんてことありませんか?
その水滴からカビが発生、空気を汚染、そしてそれが原因で喘息になったりアレルギーを発症します。
また、結露が原因で構造材が腐食して耐震性が落ちたりなど色んな所で影響があります。
今回は『結露』を起こさないよう事前に対処できる『結露計算』が何かお伝えしていきます。
まとめ
- 窓ガラスに水滴が発生するのは当たり前ではない
- 『結露計算』は使用する材料の断熱性能などで工事前に計算ができる
- 結露はカビや木材の腐朽に繋がる
- 断熱材の種類で確実に結露が起きないとは言えない
そもそも結露が起きる原因は?
空気中には目には見えませんが水分が水蒸気となって含まれています。
空気には温度によって含むことの出来る水蒸気量が決まっておりそれを『飽和水蒸気量』と呼びます。
水蒸気を多く含んだ空気が空気が冷やされていき、その温度で含むことの出来る水分量(飽和水蒸気量)を超えると結露が起こります。
この時の温度を露点温度と呼びます。
夏場などの蒸し暑い時期に冷えたグラスの表面が結露しているのを想像していただくと分かりやすいかもしれません。
この結露が窓や壁の表面で起こることを『表面結露』、壁の内部で起こることを『内部結露』とそれぞれ呼び、カビの発生や木材の腐朽に繋がります。
カビが発生しやすい条件は?
カビ菌はどんな環境でも常に空気中に浮遊していると言われています。
カビ菌の増殖には下記の要素が重要です。
・気温25~30℃以上
・湿度70%以上
・埃、汚れが多い
これらの条件を満たすとカビが増殖しやすくなり、そこで長時間過ごしていると多量の胞子を吸込みアレルギーを発症したり喘息・肺炎などの健康被害が出る可能性があります。
結露は建物の耐久性にも影響が!?
結露はカビだけでなく『木材腐朽菌』の発生にもつながります。
木材腐朽菌は高温多湿を好む菌で、木材のなかに含まれるリグニン、セルロース、ヘミセルロース、といった成分を餌に繁殖し木材をボロボロに腐らせます。
結露が発生し木材腐朽菌が発生することで土台や柱などの木材が腐ってしまうと、せっかく耐震性の高い住宅を建てたとしても、主要な木材がスカスカになり耐久性が低下し本来なら耐えられた地震にも耐えられなくなってしまう可能性があります。
以上のことから自分の命、そして建物の価値を守るためにも結露対策が大事になってくることが分かるかと思います。
しかし実際に住みはじめてから壁の中で結露をしているか、木材が腐っていないかどうかを確認するのは容易ではありません。
そんな問題を解決するための方法として『結露計算』があります。
『結露計算』の計算方法は?
「結露計算」は今まで投稿してきた「UA値」「構造計算」のように計画段階から対策ができます。
使用する部材の断熱性能・厚み・湿気の通過しやすさを考慮することで結露が発生するかしないかを確認できます。
壁はクロスなどの仕上げ材・石膏ボード・断熱材・防湿シートなどの部材で作られています。
この部材たちはそれぞれ熱を伝え湿気を通します。もちろんこれらが通す湿気はごく僅かですが壁内の温度が露点に達すと結露は発生してしまいます。
最も寒い季節だと室内温度と室外温度の差は20℃近くあります。
しっかりと『結露計算』をしないと知らない間に壁内結露が発生してしまいます。
上の画像は冬場の室内と室外の温度、露点温度を表した図です。
上の図の様に赤い線(境界面温度)が青い線(露点温度)を下回れば結露が発生します。
それぞれ画像の左側が室内で右側が室外になります。
室内の暖かい空気は外側に行くにつれて当然温度は下がっていきますがそれが壁内で露点温度を下回ることで壁内で結露が発生して断熱材にカビが生えてきます。(内部結露)
断熱材にカビが繁殖してくると、この腐朽菌をシロアリが周囲の木材と共に食べていき大事な構造材も一緒に食べてしまいます。
この様にしっかりと「結露計算」をしておかないと「これだと結露が発生する」などわからなくなり事前にできるはずの対策が難しくなります。
結露を防ぐには?
性能の高い断熱材を使用したからといって絶対に結露が起こらないとは言えません。
営業マンの中には「○○○○の断熱材を採用しているので結露をしません」という人もいます。
この間違った情報に絶対に騙されてはいけません。
使用する仕上げ材、下地材、断熱材などの性能によって結露するかどうかは大きく変わってきます。
良い断熱材を選ぶことはもちろん大事なことですが、結露計算を行ったうえで条件にあった性能を持つ材料を選ぶことが最も重要となってきます。
最後に
今回は「結露計算」を紹介しましたが、この結露計算はおうちを建てる際に建築会社に必ず行ってもらってください!
本記事内でも書いたように冬の寒い朝に窓がビショビショになっているのは当たり前ではありません!!
私が学生の頃に住んでいた京都の山奥の家は絶対に『結露計算』などは行われていませんでした。
ワンルームの賃貸だったので仕方ないですが、冬場は冷蔵庫のように寒く、夏場は西日の当たっている壁から熱を感じるぐらい断熱性能の低いおうちでした。
冬場はサッシ廻りはビショビショでガラスにカビが付着していたり、酷いときは結露した水分がそのまま凍り付くほどでした。
サッシ廻りでこうなるということは、きっと壁の内部も・・・
考えるだけでも恐ろしいですね。
これは「結露計算」を勉強するまでは当たり前のことだと思っていました。
しっかりと計算し、それに見合った建材を使用すれば防げることです。
岡本工務店ではどんな時期でも結露を起こして家にカビ・木材腐朽菌が発生しないよう、結露計算をして結露しない仕様を採用しております。
お客様に快適な住まいで暮らしていただく為に結露計算はもちろん。「構造」「断熱」「気密」など高性能にこだわった住宅を提供しています。
私たち岡本工務店では、創業115年来建築を通して笑顔をつくってきました。
その思いを胸にこれからも皆さんが家づくりをする上で重要な知識を中立的に情報提供していくことをお約束します。
↓岡本工務店が手掛ける新築戸建て住宅「ココチエナ」の性能について書かれているページはこちら↓